教育的サポート

○本研究科では、専門医等資格取得のために次のとおり教育的サポートを行います。

◎実験動物医学専門医資格取得

 日本実験動物医学専門医協会が定める認定審査(資格審査と認定試験)に合格することを目指す。研究科在学中には、資格審査基準(獣医師免許を保有し、出願時に3年以上継続して日本実験動物医学会会員として実験動物医学専門医資格単位基準を履修すること)を満たすための特別専修科目(実験動物医学専門医養成プログラム)を設定する。鹿児島大学共同獣医学部は、AAALAC Internationalの認証を得た総合動物実験施設を有しており、同施設における実験動物医学専門医となるための実務を履修させることができる強みがある。具体的には、同専門医協会による認定試験の出題分野となる実験動物(小動物ならびに中・大動物)の解剖学、生理学、感染症学、麻酔科学、発生工学、及び動物福祉学における基本的図書の理解を深めるとともに、動物実験施設における実験動物の獣医学的ケアの実務経験を積む。また、同専門医協会及び日本実験動物医学会の主催するシンポジウムへの参加ならびにウェットハンド研修会に規定回数(2回)以上参加させる。また学位論文の骨子となる研究論文は、同専門医協会が指定する学会、及びレフリー制度の確立した学術雑誌に筆頭著者論文として公表させる。特別専修科目の履修後、認定試験を受験して実験動物医学専門医資格を取得する。この資格は、大学における実験動物学における教育者としてだけでなく、創薬等を行うライフサイエンス企業において、動物福祉に配慮した適正な動物実験の統括と獣医学的管理を担当し、実験動物を用いた試験研究を行うことのできる専門獣医師として、社会ニーズが非常に高く、獣医学に特殊性のある資格となっている。同専修コースは、特別専修科目履修後に認定試験の受験資格を得ることができ、同試験に合格すれば、実験動物医学専門医資格と博士課程修了時に博士の学位との両方を取得できるコースである。

◎日本獣医病理学専門家協会会員資格取得

 日本獣医病理学専門家協会が定める会員資格認定試験受験ガイドラインにしたがって、受験資格を満たすための特別専修科目を構成する。認定試験受験のためには、獣医病理学に関する専門的研究または専門的職業に3年以上従事しなければならないことから、研究科在学中の特別専修科目において病理診断の実務及び研究を実施させる。具体的には、同専門家協会による資格試験の基準となる獣医病理学、毒性病理学、免疫病理学、分子病理学の基本的な知識の取得および過去3年間の関連する学術論文の理解とともに、病理診断に必要な様々な知識と能力を評価するための鏡検試験に対応できる病理組織診断の能力を培い、その経験を深める。同専門家協会規約に定める研究及び研修歴に加えて、指定された研究会や同協会主催セミナーに規定回数(3回)以上参加させる。学位論文の骨子となる研究論文は、レフリー制度の確立した学術雑誌の獣医(実験動物学及び毒性学を含む)病理学分野に関する筆頭著者論文として公表させる。特別専修科目を履修した後、認定試験を受験して日本獣医病理学専門家協会会員資格を取得する。この資格は、臨床獣医学における病理診断医として求められるだけでなく、食肉検査学等の応用獣医学における、マクロ病理学の標準化・高度化、製薬・創薬における実験病理・毒性病理等の基礎獣医学にも寄与することが期待される資格である。同専修コースは、特別専修科目履修後に認定試験の受験資格を得ることができ、同試験に合格すれば、病理学専門家協会会員資格と博士課程修了時に博士の学位との両方を取得できるというコースである。

◎日本小動物外科専門医受験資格取得

 研究科在学期間中に鹿児島大学共同獣医学部の附属小動物診療センターにおいて臨床専修医としての動物医療を行うことを求める。具体的には、獣医外科学、獣医麻酔学、獣医画像診断学、獣医病理学、獣医内科学、救急医療の専修医教育プログラムを構築し、各診療科が設定する履修項目にしたがって、日々の診療活動を自己研鑽の証拠となるポートフォリオに積み上げる。獣医外科学分野においては、大学院在学期間中に、日本小動物外科専門医協会が定める日本小動物外科専門医レジデントプログラムへの参加資格となる一般臨床経験に止まらず、レジデントプログラムが求める外科診療科における軟部組織外科や整形外科の手術症例担当及び執刀、麻酔・病理・画像診断の症例の基準に相当する内容を提供する。また学位論文の骨子となる研究論文は、同専門医協会が指定する学会、及びレフリー制度の確立した学術雑誌に筆頭著者論文として公表させる。研究科修了によって博士の学位を取得した後、さらにレジデント期間を経て、認定試験を受験して日本小動物外科専門医資格を取得する。レジデントプログラムに参加している臨床医や大学の研修医等が、専修コースへ修学することによって、学位取得と専門医資格取得に向けて研究室と共同獣医学部附属小動物診療センターでのワークを両立させ、目標到達できる新たな卒後教育プログラムとなっている。専門医制度は、欧米の獣医学教育において常備された卒後教育システムである。